愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
ドキドキドキドキ。
心臓の鼓動がこれでもかっていうくらいに音を立てている。
たぶん、当の本人たちよりも見ている私の方がガッチガッチに緊張し。
指先も足のつま先も全部。
冷え切って、固まってしまっている。
カードを見ない。
カードを変えない。
香椎くんはそのままで勝負すると言う。
本当に。
本当に。
自分の『運』だけを信じていて。
そこに絶対の『自信』があるからやるんだ。
岳尚はグッと押し黙ったまま、自分の手持ちのカードを見つめた。
「まぁ、いいさ」
そう言って、彼もニヤリと笑んで見せた。
香椎くんは『いかさま』と言った。
岳尚が『いかさま』で手に入れた役はきっと今までのどのゲームよりも高い役に違いない。
現に彼もカードを変えない気らしく、「では勝負と行こう」と言って見せたのだから。
「オレからだ」
そう言って、岳尚はカードを一枚一枚めくって行った。
カードが一枚開かれるたびに、心臓がドクドク大きな音を立てて血を体中へめぐらしていく。
『4』『5』『6』『7』『8』のストレート。
そしてその全てのカードが一番高い『スペード』。
そう、岳尚の役は『ストレートフラッシュ』。
これに勝てる役は一つだけしかない。
「これに勝てる自信、おありかな?」
指先に震えが走る。
だって、絶対に勝ち目があるとは思えない。