愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
勝てる役は『ロイヤルストレートフラッシュ』しかない。
「64万9740分の1の確率。
万に一つの可能性すらあり得ない」
勝利を確認している岳尚がそう言い捨てる。
っていうか。
『ロイヤルストレートフラッシュ』を引き当てる確率が64万って……その数字に震えが止まらない。
「そうだな。
『万』に『一つ』の可能性もあり得ないだろうな」
言いながら、香椎くんはゆっくりと組んでいた両の手を離し。
目の前に並べられたカードの一枚目に手を伸ばした。
「『凡人』ならば……な」
ゆっくりとめくられる。
その数字にドクン。
心臓が一段階高い音を立てる。
「まず一枚」
そう言ってにやりと笑った香椎くんのオープンしたカードは『スペード』の『10』。
続けて香椎くんは二枚目に手を伸ばし、めくる。
「二枚目」
開いたカードは『スペード』の『K』。
ちらりと岳尚を見る。
彼も固唾を飲んで、香椎くんの手元を見つめていた。
香椎くんは手を止めなかった。
三枚目をめくる。
「これで三枚」
『スペード』の『J』が姿を見せる。