愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

『10』『J』『K』と揃った。

残るはあと二枚。

香椎くんの手がゆっくりと四枚目をめくっていく。


「四枚」


『スペード』の『Q』。

残るのは『A』のみ。


確かにここまでは順調すぎるくらいカードを引き当てている。

『いかさま』ポーカーで、これでもかっていうくらい引き当てている。

香椎くんの『強運』に声も出ないけど。

でも……こんなことってある?

これが香椎くんの持つ『運』の強さなの!?


ドキドキが止まらない。

全ての感覚が研ぎ澄まされて、空気もキンキンに冴えわたる。

誰ひとり言葉を発しなかった。

ううん。

たぶん、なにも言えないんだ。

あまりのことに言葉が出てこないんだ。

あり得ないって思うのに。

香椎くんから目が離せない。


香椎くんは余裕たっぷりの笑みをその口元に湛えたまま、躊躇もしないで最後のカードに手をかけた。


「本当にそれが『A』だと思うのか?」


低い、唸るような声で岳尚は香椎くんに問う。

香椎くんはカードの上に手を置いたまま、岳尚を見つめた。


「愚問だよ」


言いながら、香椎くんはゆっくりとカードをめくった。


ドキン……ドキン……ドキンッ……!!


心臓が大きく鼓動し、息苦しささえも連れてくる。
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