愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
退屈な日々。
退屈な時間。
毎日、毎日人の顔を窺って、媚び売って、へつらって。
そういうのに慣れっこにはなっていたけど、はっきり言ってお腹いっぱいになっていた。
人の顔がどれものっぺらぼうになっちゃえばいいのにと、小さい頃からずっと思ってた。
だって、みんな同じ顔してる。
どれも仮面付けて、その裏で何を考えてるかなんて分かったもんじゃない。
だから、コイツもきっとそうだと思ってた。
「初めまして、お嬢様」
ニッコリと。
キラキラとんでもないオーラ出しまくり。
白い歯なんてものをがっつり光らせて。
非の打ちどころなんてものないような、最高というのか、極上というのか。
ものっそいキラースマイル打ち出して、優雅な物腰で私に近づいてきたこの男。
顔はいいなんてものじゃない。
爽やかな雰囲気にマッチした軽やかな茶色い髪なんて、耳にかかりながらちょっと外へ遊んでる。
鼻筋はすぅっとしていて、小鼻で上品。
唇は厚すぎず、かといって薄くもなくて。
目元ははっきりしてるんだけど、涼しやか。
白い手袋をした大きな手は、たぶんだけど、ごつごつとかはしてなくて、流れるように指が長いのだろうなと。
王子様じゃないけれど、気品のある物腰とかなんとかはもはや、訓練の賜物だけのものじゃないよねと……そんな第一印象だったのに……ねぇ。