愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「そーんな目ぇしなくても、話はちゃーんと聞いておるよ」
オヤジ殿はそう言うと、湯呑みを置きコリコリと顎を覆う白ひげを掻いた。
「なにが気に食わんのだね、彼の?」
それを言わにゃわからんのか、あんたにはっ!!
「全部です。
あれは執事ではありません。
むしろ私には毒です」
「薬だとは思えんかね?
ほら、良薬は口に苦しと言うだろう?」
良薬って……ありえない。
「なにが目的で私にあのような輩を執事としてつけたのですか!?」
オヤジ殿はその言葉に、にっこりとほほ笑みを返してみせた。
「面白いと思ったのだよね」
「は?」
オモシロイとはナンゾヤ?
オモシロイから執事にした?
「まぁまぁ、少し一緒にいてみておくれ。
そうしたら分かるから。
それに……なんというかねぇ、彼には彼の事情や秘密がたーくさんあってだねぇ。
それはまた追々分かると思うけど、これは全部おまえのためになることだから」
おっしゃる意味が全く理解できませんことよ、お父様。
私の声など聞こえないらしい父親は、愉快そうに笑った。