愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

その言葉に隣に立つ香純さんがハッと息を飲み込むのを感じた。

香椎くんは香純さんの方にナイフを寄こせと言うように、左手を差しだした。


「おまえの弟が九条の人質になってたんだろう?

それはもう解決してきた。

おまえの弟は九条の家から解放されて、こちらで保護した。

だからやめろ」


ちょちょちょちょちょっと!!

香純さんが身内だとか。
その弟が九条の人質だとか。
保護したとか。

なんなの!?
どうなってんの!?

もしかして、それ解決するために今までいなくて。

それ解決するために時間が欲しかったとか?


「……紫丞も……九条も……信じられない」


震える声で香純さんはそう言った。

だよね。
私も同じ立場だったら絶対に疑うと思う。

香椎くんが執事じゃなくて当主様っていうことだっていまだに信じられないのに。

そんな不確定な人から『大丈夫』って言われたって、そう簡単に信じられるもんじゃないよね。


私は首は動かせないから目だけで岳尚を見る。

苦虫をかみつぶしたような顔。

悔しさと怒りと。
いろんな思いがごちゃまぜになった顔を香椎くんに向けている。


「あの女の弟は九条の別邸に幽閉してあったのに……おまえはそこまで行ったってことかよ?」

「……揃いも揃って下衆ばかりで反吐が出るよ、おまえら九条には。

小学生のガキまで巻き込むなんてな」


って……最低すぎる!!



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