愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「あの男の狙いだって『九条』と変わらないかもしれないじゃない!?
あなたはそう思わないの!?」
「思わないよ」
私には確信がある。
今までずっと忘れていたけれど、ちょっと前に私は思い出した。
小さい頃もそうだった。
たぶん、私『九条』に『幽閉』されたことがあったんだ。
そのときも私は助けてもらった。
『おにいちゃん』
って呼んでいた人に。
その人は小さい頃の唯一信じられる存在だった。
いつも一人で泣いていた私を慰めてくれた人だった。
一人でいる私にお祖母ちゃんが連れてきた人だった。
「そこまでして信じてほしいのなら、信じるだけの価値があるってことを証明して見せなさいよ」
「香純ッ!!」
その人を傷つけたら許さない。
そう睨みつける香椎くんが目に入る。
辛いなぁ。
辛すぎる。
香椎くんは笑っている顔が一番いいのに、私のせいでそんな顔させちゃってるんだっていう現実がすごく辛い。
「いいよ」
私はそっと香純さんのナイフを握っている手に自分の手をかける。
「証明したら……彼を信じてね」
そしてその手を軽く握る。