愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
迷わないって決めたのは私。
これは覚悟。
同じように香純さんも覚悟してここにいる。
弟を守るために。
大事な人を守るために。
それは私も彼女も同じ。
だから彼女の心を動かすには自分の覚悟を見せるしかない。
「このナイフ、借りるね」
そう言って彼女からナイフを取り上げる。
瞬間、動き出そうとする香椎くんを私は睨みつける。
そんな私に香椎くんが息を飲む。
「これであなたの気持ちが動くかは分からない。
けど……」
右手でナイフを握る。
銀色のナイフ。
こんなものを握って人に突き付けるほど、彼女の心は切迫してた。
こんなことをさせる『争い』なんて、くだらなすぎる。
「同じ女なら分かってほしい」
そう言って左手で私は自分の髪を引っ掴み、握りしめたナイフをそこに押し当てる。
「セリッ、やめろ!!」
香椎くんが叫ぶ。
それが合図になって、私は一気にナイフを引き抜いた。