愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「ま、なんにしても彼は男前だし。
おまえにとって不足なところは一つもない男だぞー。
なんと言っても『完璧』な『男』だからなー」
カッカッカ。
父親は白い歯を見せ、腰に手を当て、のけぞるようにして笑う。
男前は認めよう。
でもその後の言葉は全て否定したい。
ヤツは不足だらけです。
ヤツは完璧には完璧だろうけど、それはもの凄く『悪』が強い気がしますよ、お父様。
ここにいても仕方ない。
父は香椎と言う男を過大評価しまくっているのだ。
本当のヤツの姿を知らない人間にどうこう言ってももはや仕方ないことだ。
父には分からないように心の中だけで舌打ちをし、私はしおらしく一礼してその場を去ろうとした。
「そうそう。
いくら彼が『ステキ』な『執事』でも『一線』を越えたらいかんぞ、セリ」
飛んできた声に私は反射的に振り返り
「絶対にありえませんからっ!!」
と絶対拒否の言葉を投げつけていた。
ありえない。
ありえない。
明日、地球が崩壊しようとあの男と一線を越えるようなことはぜーったいにありえない!!
と思いたい。