愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「弟の病気の治療費の件で九条とうちのばーさんに付け入られたんだな。

まさかおまえが『宇津木』の娘だとは思わなかったから」

「えっと……そのことなんだけど。

説明してもらってもいいかな?」


話がまったく見えなくなってきそうだったから、私はそう香椎くんにお願いした。

香椎くんは「そうだった」と答えると


「『宇津木』は紫丞のじーさんの妾の名字で、香純の父親はオレのじーさんの子供になるんだよ。

だから公には『紫丞』の血筋っていうこともできないし、ばーさんは『宇津木』の家に対しては結構酷いことしてたみたいだからね。

いろいろ苦労したみたいなんだよ」


「っていうことは?」

「『腹違い』の『従兄弟』になるってことかな?」


香椎くんは言いながらぽりぽりと頭を掻いて見せた。



「で、複雑な事に綾渡に対してもあんまりいい感情抱いてないのね、ばーさんは。

いまだに『九条』と婚姻決めた綾渡のばーさんのこと、許してないし。

だから『宇津木』の『孫娘』に『秘石』だけを奪って、あとは始末しろみたいなこと平気で命令してね。

なんとかしたかったけど、これがなかなかうまくいかなくて。

挙句、『宇津木』の『孫息子』のほうは『九条』に誘拐、幽閉させるしで。


あのばーさん納得させるのと、弟探しで時間食っちゃってね。

で、ここに来るのも遅くなったと、そんなわけ」



一気に諸事情を話されてしまい。

なんていうか、理解するのにもの凄く時間がかかってしまう。


首謀者って『紫丞』のおばあさまで。

『九条』と『紫丞』は事実上、手を組んでたってこと?


「それって一番悪いの香椎くんの『おばあさま』ってこと?」

「ま、そうなるかな」


香椎くんはすんなりと認める。
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