愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「お気が済みましたか、お嬢様」
部屋を出た途端に飛んできたのは、香椎くんの声だった。
パッと顔を上げてみると、壁により掛って腕組みをする香椎くんの姿がそこにあった。
おーいっ、香椎毅臣。
おまえ、執事ちゃうんか?
そんな姿勢で主待つってありえないでしょうが。
たくっ、このちょい悪きどり執事がっ。
無視だ、無視。
関わるとロクな事がない。
せめて家の中でくらいは心穏やかに過ごしたいものね。
彼の前を素通りしようとした途端、グッと腕を掴まれた。
「なに?」
香椎くんは身長が高い。
私だって170近くあるのに、それよりはるかに高い。
85くらいはありそうな彼が隣に立つと、私はどうしても見上げる格好になる。
見上げた香椎くんの瞳を覆う睫毛の多さに目がいった。
キレイな顔にお似合いな長い睫毛。
しゃべらなきゃな、確かに完璧だよね。
「疲れませんか?」
香椎くんの低い声がスルリと……本当にスルリと私の心の奥深くに侵入する。
「な……にが?」
「ヨロイ」
何が言いたいのかな、香椎くん?