愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
ほんの少しだけ香椎くんの腕から力が抜けて、彼の右手が私の顎を捉える。
ほんの少しだけ上向きにされる私の顔のすぐそばにある。
見つめる瞳にしっかりと私の顔が映りこんでいる。
「大好きだよ、香椎くん」
「分かってるさ」
にっこりとほほ笑みながら、彼の顔がゆっくりと。
スローモーションを見ているかのようにゆっくりと近づいてくる。
私は目を閉じた。
「たとえ道は違っても……」
近づきながら落ちてくる言葉。
「いつまでもキミを愛している」
重なった唇に。
柔らかな感触に。
一筋だけ我慢が出来なかった滴が頬を伝っていく。
彼の唇とその温度を忘れないように……
刻み込むように私は彼の背に回した腕に力を込めたのだった。