愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
タクシーの窓から外を見る。
流れていく風景。
見慣れた街並み。
すべてが懐かしく。
すべてが愛おしい。
これが見納めになるのかもしれないと。
そう思いながら外を眺める。
これでいい。
これでいい。
これでいいんだ。
何度も何度も言い聞かせる。
自分で決めたこと。
香椎くんとのことも。
留学のことも。
将来のことも。
全部、全部自分で選択したこと。
間違っているかもしれないと思っても。
今はこれが最善なんだと……そう思って決めたこと。
それなのに――
どうして私、こんなにくじけそうになってるんだろう?
どうして私、こんなに悲しくなっているんだろう?
どうして私、こんなに弱っているんだろう?
ねぇ、香椎くん。
あなたがいない私はどうしてこんなに弱虫なの?