愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

窓の外をぼんやりと見つめる視線の先に、大きな看板が目に飛び込む。


今や、時の人となった香椎くんの巨大看板。


にっこりキラースマイルを湛えた彼の看板に私はフッと笑ってしまう。


それから隣に置いておいたボストンバックから、あるものを取り出した。


香椎くんがお守りにとくれた……テントウムシの防犯ブザー。


これを持っていれば大丈夫だと。
そんな思いがして、これだけは常に傍に持っていようと決めたもの。


住む世界が違っても。
歩む道が違っても。


空は続いていて。
太陽は上っていて。


見上げればきっと同じものを見ているんだろうね。


傍にいなくても。
傍にいられなくても。


思い合っていれば、いつかどこかでもう一度。


私たちの道は重なるのかな?


コツンと……テントウムシを小突いた瞬間だった。


ビービービービー!!


「ちょ……ちょちょちょちょちょ……ッ」


あの遊園地デートから、どんなに触っても鳴らなかったはずのテントウムシがけたたましい音を立てて鳴り始めてしまったから大パニック。


やめてよ。
こんなところで鳴らないでよ。

これ……確か止められないんだよ、私。

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