愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「か……」
香椎くんだッ!?
でもなんで?
なんで彼がこんなところにいるの?
しかもタクシーの運転手にまで変装して。
なにやってんのッ!?
「まったく、お嬢様はなーにをやっていらっしゃるんだか。
これだから、私のような優秀な『執事』が傍にいないとダメなんですよ」
香椎くんはヒョイッと私の手からテントウムシを取り上げると、白い手袋を脱いでテントウムシのお腹のあたりを軽く触れた。
途端、テントウムシは泣き止んで。
そうピタリと。
嘘のようにピタリと泣き止んでしまって。
目の前の人が『正真正銘』の『香椎くん』その人であることを証明してくれる。
「って……なにやってんの!? こんなところでッ!?」
運転席に噛り付くようにして香椎くんを問い詰める。
のに……この男。
シレッとした涼しい顔をして。
「なにって運転してましたけど」
そう答えたのだった。
つーか、そういう答え求めてないんですけどね、私。