愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「仕事はッ!? 今、すっごい忙しいんじゃないの!?」
噛みつくように尋ねる私に、今度は横を向きながら「ああ、それですか」と香椎くんは今気づいたとでも言いたげに答えた。
「任せてきちゃいました」
「は?」
「だーかーらー、任せてきちゃったんですよ、それ」
ちょっと待て、香椎毅臣。
任せてきちゃったって……どういう意味よ?
「だって、お嬢様が留学されるというのに、それに付き従う以上に大事なことって私にはありませんから」
にっこりと。
看板同様。
いや、それ以上のキラースマイル全開で私に向かって香椎くんは言った。
キラキラ、キラキラ。
まるで星屑を背負っているみたいに輝くオーラをまき散らしながら、そんなことを簡単に言ってのける香椎くんは……どこからどう見ても『紫丞』の家の『御当主様』には見えない。
それに、さっきからこの人。
私のこと『お嬢様』って連呼しちゃってないですかね?
「質問してもいいかしら?」
「どうぞ、お嬢様」
「……付き従うって……あなた、どういうつもりなの?」
「どういうつもりもなにも、『執事』なら当然のことでしょう、お嬢様?」
この人、なんて言った?
今、なんて言った!?