愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「執事って聞こえませんでしたか?」
念を押すように香椎くんはそう私に囁いた。
聞こえてるわよ。
よーく、聞こえてるわよッ!!
「紫丞の家はどうするつもりなのよッ!? 当主がいなくなったなんて、洒落にもならないわよッ!!」
「世界にはネットっていう便利なものがありますから。世界のどこにいても仕事くらいはできますよ」
「っていうか、本気で言ってるの!?」
その言葉に、フッと瞬間的に香椎くんの表情が変わった。
ドクンッ!!
強い眼差しと真面目な顔に、一気に私の身体が硬直する。
「オレの本気……その身で試してみる?」
「香椎くん……自由すぎ」
「オレがこういう男だってこと、セリが一番知っているって思っていたけどね」
クスッ……からかうような笑みが香椎くんの口元からこぼれる。
「さぁ、飛行機の時間に遅れてしまいますよ。シートベルト、ちゃんと締めなおしてくださいね」
にっこりとほほ笑んだ後、香椎くんが再びハンドルを握りしめた。
「ちょ……ちょっと待ってよッ!!」