愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「執事って聞こえませんでしたか?」


念を押すように香椎くんはそう私に囁いた。

聞こえてるわよ。

よーく、聞こえてるわよッ!!


「紫丞の家はどうするつもりなのよッ!? 当主がいなくなったなんて、洒落にもならないわよッ!!」

「世界にはネットっていう便利なものがありますから。世界のどこにいても仕事くらいはできますよ」

「っていうか、本気で言ってるの!?」


その言葉に、フッと瞬間的に香椎くんの表情が変わった。


ドクンッ!!


強い眼差しと真面目な顔に、一気に私の身体が硬直する。


「オレの本気……その身で試してみる?」

「香椎くん……自由すぎ」

「オレがこういう男だってこと、セリが一番知っているって思っていたけどね」


クスッ……からかうような笑みが香椎くんの口元からこぼれる。



「さぁ、飛行機の時間に遅れてしまいますよ。シートベルト、ちゃんと締めなおしてくださいね」


にっこりとほほ笑んだ後、香椎くんが再びハンドルを握りしめた。


「ちょ……ちょっと待ってよッ!!」

< 249 / 282 >

この作品をシェア

pagetop