愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「ええっと……」
「お嫌いですか、シイタケ?」
シイタケ?
ハッと我に返ってよくよく彼女の手を見てみれば、しっかり握られた箸のさきに、煮物のシイタケさんがいらっしゃる。
あははははは。
どうかしちゃってるわね、私。
タケオミなんかであるわけないじゃない。
そうそう、シイタケの『タケ』なのね。
「いえいえいえいえ、大好きですわ」
シイタケLOVE。
これ、偽りなし。
「では、どうぞお召し上がりください。
お口に合う味だとよいのですけれど」
そう言うと彼女は私にお箸の先端を差し出した。
うーんと……いいのだろうか?
その……これってどうなんでしょう?
「あの……私、自分の箸を洗ってきますから」
そう言って落ちていた箸を拾い、立ち上がる。
すると彼女が私の制服の袖を引っ張った。
「私が洗ってまいります。
セリ様はここでお食事をつづけてください。
パンもお菓子もお好きなものを!!」
私の手から華麗に箸を奪い、彼女はそう残して猛ダッシュしていった。