愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「見てからでしょ?」
「脅迫メールでお嬢様の心臓が止まってしまうと困りますから」
「なんで岳尚様が脅迫メールなんかするの?」
「なんとなく」
なんとなくってなによ、なんとなくって……
『脅迫メール』って言うのもなんだかなーって思うのに。
どうしてここまで岳尚様を意識しているというか、警戒しているというか。
それがどう考えても分からない。
確かに二人は知り合いみたいな臭いがプンプンしたんだけどさ。
あれかなー?
昔、昔。
そのまた昔。
香椎くんは岳尚様というか、九条の家の執事をしていて。
そこでなんかとんでもない失態をしたのか、はたまたすんごいイジメとかイビリにあって耐えきれずに逃げ出すように辞めたのか。
もしくはこの人が本当は紫丞の家のスパイかなんかで、それで岳尚様を警戒しまくっているとか。
「お嬢様」
「あ……」
妄想しすぎて、すっかりメールのことぶっ飛んじゃってたな。
「とりえあえず一緒に見てみましょう」
譲ってもらえそうにないニッコリ笑顔。
「……イヤって言っても見るんでしょ?」
「はい、『執事』ですから」
誰かコイツに『執事ちゃう』って言ってくれ。