愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「お嬢様……」
呆れた目で見ないでってば。
そんな痛い目で見ないでって言ってるんだってば!!
痛いって。
まぢで痛いって。
死ぬほど痛いって思ってるのは私だって同じなんだから。
深呼吸だよ、セリッ!!
こういうときは大きく胸を張って。
息を思いっきり吸いこんで。
その息をゆっくりと……
吐こうと大きく胸を開いた途端。
私の手からスルッとケータイが奪い取られる。
「えっ? えっ? ええぇっ!?」
香椎くんがなにかボタンを押しているように見えるのは……私の目の錯覚じゃあるまいよっと。
「な……!? なにやってんのってば、香椎くんっ!!」
ひったくり返そうと手を伸ばすけど。
ずるいんだ、この男。
思いっきり手を上に上げちゃってさ。
見上げながらケータイいじってるって、どういうことー!?
「か・え・し・な・さ・い・よ!!」
手を伸ばし、バタバタさせながら睨みつけると。
はたと手を止め、私を見下ろした香椎くんがにーんまりどす黒い笑顔を浮かべなさった。
背筋が凍るほど、やーな予感満載なんですけど。