愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「出ないんですか?」


ケータイの画面と格闘中の私の隣から涼しやかな一言が流れ込んでくる。

出ないんじゃなくて、出られないの間違いだろうが。

だいたいどうして私が出られないのかって言えば、キミのせいだろうがっ!!


「出ないのなら代わりましょうか?」


私の手からケータイを盗もうとする香椎くんに、ブロックするように背中を向け急いで通話ボタンを押す。


「も……もしもし?」


上ずってるよ。
完璧、動揺しちゃってるよ、私。

大丈夫よ、セリ。
落ち着いて。

いつもの自分を取り戻すのよ!!

あんたはやればできる子!!


『セリさん? 今大丈夫』


電話向こうの岳尚様の声はとっても穏やかで……ちょっとほっとする。


『そこに執事いるの?』


その一言に全身の血が凍りそうになった。

穏やかなのに、なぜかもの凄い棘を感じる。

剣山で心臓ワシワシ刺されてるみたいなかんじ?


「いないです、問題ないです、私一人です」


言った瞬間、背後でものっそいどす黒いオーラを感じたけどこの際ムシだ!!
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