愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
『セリさん?』
なんか、『セリさん』言われるのもちょっとイラっとしますけどね。
だってさ、岳尚様と婚約っていう婚約をしているわけではないし、名ばかりで実感もないし。
だからと言って『九条家』は『綾渡家』としては粗末に扱えないというか……
岳尚様のことだって実は何にも知らない。
学校でも基本男女は絡む機会がないし、話だってまともにしたのって数回な気がする。
メアドと電話番号は一応知ってはいるものの、滅多に活用することもない。
だいたい、向こうからメールで『デート』なんてのも初めてで、正直今も動揺してるくらいなんだから。
う~ん。
どうしたもんなんだろうなぁ?
「デートはその……どうして急に?」
岳尚様の真意がどうも分からない。
ま、婚約者なんだからたまには交友を深めておこう、将来のために。
とかなんとか?
『婚約者なんですからね。
今後のためにもいつまでもこの距離でいるのはどうかと思いまして』
やっぱりね。
『好き』だから『デート』とかっていうわけじゃなく。
とりま、あれだ。
義務的なかんじなのね。
それなら了承せなあかんわねぇ。
「私もそう思います」
だって一応……将来は結婚する人だもの。