愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

瞬間、胸にズキリとした痛みが走った。

そう。
岳尚様は将来結婚する人。

一生を共にする人。

ふと後ろを振り返る。

鬼の形相そのままの香椎くんと目が合った。

そのとき、フッと香椎くんがその顔を緩めてほほ笑んだ。


な……!?


一気に顔に血が上ってくる。

不意打ちすぎる!!
っていうか、今心臓一瞬止まったよ!!
息するの忘れたよ!!

大好きだー!!

って言いたくなるじゃないかっ!!


『……さん!! セリさん、聞いてる?』


ハッと現実に引き戻される。

ダメだよ、セリッ!!
今は岳尚様とのお話に集中せねば。


「えっと……すみません。
お話、もう一度いいですか?」

『あ……ああ。そのね、初めてのデートってことであなたもボクも緊張しちゃうでしょ?
だからどうでしょう?
執事君にデート、同伴してもらっては?」

「は?……え……えっ?」


『は?』はあかんってば、セリッ!!
集中集中っ!!


『一応『デート』なのに執事君付きではセリさんはおイヤでしょうけれど』

「ととととととんでもないです。
そのようなお気遣いまでしていただいて、幸せです」


香椎くん付き!!

それなら絶対OKだ!!

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