愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
『では、執事君にはこちらsideで女性を用意いたしますので』
「はっ!?……え……ええ……女性?」
『はい、2対1では均衡がとれないでしょう?』
私的にはそのほうがありがたいのですけれど……とは口が裂けても言えない。
「ででででも、それでは岳尚様に申し訳ないですから」
『いえ、なんだか楽しそうです。
ダブルデートなんて、この先早々出来ませんからね』
そう言ってケータイの向こうから岳尚様の喉を鳴らして笑う声が聞こえる。
なーにー。
なーにー。
この、いや~なかんじはなーにー!!
『ではそういうことで。
デートの日はこちらからお迎えに伺いますので』
「え……あ……」
『それでは、また』
電話は一方的に切られてしまい……見つめる画面は待ち受け画面に戻ってしまっていた。
「デートするんですか?」
呆然とする私に香椎くんの矢のような視線と言葉が飛んでくる。
「えっと……香椎くんも参加でってことで」
「同伴?」
「ダブルデートみたい」
そう答えると香椎くんは目を伏せ、大きく肩を落とすようにため息をついて見せた。
「ダメなの?」
「ダメも何も……なにか嫌な予感がするんですよ」
右手を顎に添え、考え込むように数秒黙りこみ、香椎くんは伏せていた目を開けて私を見つめた。