愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
デートはその週の土曜日に決行されるということを、岳尚様から電話を貰った翌日の朝に香椎くんから聞かされることになった。
っていうか、その土曜日がまさに今日なんだけどもさ。
その間、香椎くんに聞きたいことがあったのに、私は一つもそれを聞けなかった。
岳尚様となに話したの?
人のケータイ使ったの?
デートってどこに行くの?
たったこれだけのことなのに、香椎くんに聞けない私。
デートの話題や私のケータイ、岳尚様のことを聞くのはなんだかすごく勇気がいった。
うん、そうなんだ。
香椎くんを信じてないわけじゃ、ぜーんぜんないの。
信じているから全部、なにもかも話してほしい。
信じているからこそ、香椎くんと二人で共有したい。
そう思うのに……一緒にいて、主従関係に一応あるのにもかかわらず。
私と香椎くんの間にはなにか薄いような、厚いような……とにかくちょっと微妙な壁があって、それがなんとはなしにこう。
バランスをとっているっていうか。
すごく脆弱な地面にというのか、ガラスの板の上に私たちは乗っていて。
どちらかが加重しすぎれば簡単に壊れてしまう。
そんなイメージを抱いてしまっている私がいる。
考えすぎなのかもしれない。
でも……
香椎くんがなにも言わないから、だからすごく不安になる。