愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「はい、素敵です。お嬢様」
そう言われてまぢまぢと鏡を見る。
香椎くんが私の髪を結いあげてくれるなんて……いや、これ贅沢なんだけども。
香椎くんの長い指先が頭の先に触れるたびにドキドキ、モヤモヤしてたまらないんだけど。
髪をすくその指先とか、視線とか、顔とか。
見るだけでなんかもうこうどうしていいか分からなくなって、思わずそのまま抱き締めて―なんて言いそうになって自分を殴りたくなった。
「っていうか……どうしてツインテール?」
高い位置で二つに結いあげられた私の髪。
今まで二つで縛るってしたことがなくて、もの凄い違和感を覚える。
なんか子供っぽくない?
一応綾渡家の跡取り娘なんだけどさ。
誰かに見られたら恥ずかしいじゃない。
っていうか、これで岳尚様に会うっての?
「御不満ですか?」
香椎くんはそう言って目を細めた。
『オレのすることに文句付けちゃうの?』
ってな目をするな、香椎!!
「御不満も何も……子供っぽすぎない?」
髪をクルクルしながらそう言うと、香椎くんは私の隣に顔をグッと近づけて鏡越しに笑った。