愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「今まで見たこともない自分に戸惑ってる?
でも、そういうのも悪くないと思わないと」
耳元でそういうこと囁くなよー。
確かに鏡の前の自分は今まで見たこともないような自分。
ある意味、背伸びをしていない18歳そのままの自分と言えなくもない。
「でも……」
「お嬢様」
香椎くんに抗議しようと口を開いた瞬間、やんわりとした声で制止される。
「今日は素直に受け入れて」
ニッコリとそう言われたら、恋する女の子なんてそれ以上なにも言えるわけがない。
確信犯だって分かる。
細めた目がそう告げる。
本当は髪だけじゃない。
香椎くんが見立ててくれた服だって、いつも私が着るような服と全く違う。
清楚とか、お嬢様っぽいとかそういうかんじじゃなくて。
もう元気いっぱいっていうのか。
デニムのショートパンツとか。
チュニックとか。
憧れはあったけど、今までは着ることをしなかった『らしく』ない服で。
そういうのを理解しているっぽい香椎くんに、やっぱり敵わないやってすごく思ってしまう。