愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

っていうかさ、どうやって止めるの、これー!!

普通の防犯ブザーと違うみたいで、全然止め方が分からない。

やいっ、テントウムシ。

おまえ、鳴かないだろうが、ほんとはっ!!


裏返したり、振ってみたり、叩いたり。

いっそ、分解してやろうかしらと腕まくりしたそのときだった。


「こんなところで鳴らさないでください、お嬢様」


背後から呆れた声が飛んできて振り返る。

その瞬間、私の頭上にめっちゃでっかい岩が落ちてきたような衝撃が走った。


なによ、なによ、なんなのよっ!!

それ、反則。

つーか一撃必殺じゃないの!!


「どうかされました?」


私の手からバックを取り上げ、テントウムシに触れる香椎くんは……そう。

いつもの香椎くんじゃなくて。


「し……私服なんですね」


なして敬語なの、私。

っていうか……いつもの真っ黒執事スーツではなくて。

白いライダースっぽいジャケットに、黒のTシャツに、細身のこれも白の革パンツにって。

その上、髪型もいつもと違ってオールバックというか、なんか決めちゃってるし。


「惚れなおしちゃった?」


クスッと笑うその顔がたまらず悶絶しそうになった。

ダメよ、セリ。

こんなところで鼻血はダメよ!!
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