聖霊の宴
「……っつ。……ぐぁ。」
金色の月明かりに照らされた城の最上で胸を押さえ苦しむ青年。
「……ワイズ、しっかりして。」
その肩の周辺に緑色の光がまとわりつき、そこから声が聞こえた。
「……何なんだこの痛みは、胸が裂けてしまいそうだ。」
ワイズの精悍な顔に冷たい汗が光る。
「……宴が始まるのよ。」
切れた息をなんとか整えようとワイズは深く深呼吸をした。
「そうか『聖霊の宴』が始まろうとしているのか。」
「そう。『アバンカールト』により与えられた不死の呪いが解かれ、新たな王を選抜する為の媒介を放つ使命が各王にはある。」
月が完全に隠れた瞬間。
急にワイズの心臓が光り、瞬くと。
「くっ、ああっ。ぐわぁぁぁぁあっ!!」
ワイズの心臓から五本の光が放たれ、大陸のどこかへと消えていった。