聖霊の宴
全方位、回避不可の乱気流に飲み込まれたフィニの叫び声すらも暴風に呑まれる。
「シルフィード、そこまでだ。」
『ええ、ワイズ。』
ワイズの声に風が止む。
ガクッ。と折れるフィニの膝。
右腕で地に伏せるその身体を無理矢理に起こしていた。
「さぁお仕舞いにしよう。『早春の指輪』を僕に渡すんだ。」
柔らかいワイズの物腰をギッと睨み付けるフィニ。
そして、彼女は狂った様に笑いだした。
「……くくっ。ふはははは。はははははは……」
ワイズは顔をしかめた。
「何が可笑しい?」
ワイズの問いに笑いが止まる。
フィニは不敵に笑うと魔力を込める。
今までとは全く異質のそれに呼応するかの様にアスタロトが光り輝く。