聖霊の宴

神々の遺産


「アスタロト……『月の恵』」

光り輝くアスタロト。

その姿は次第に真っ白な衣を羽織る女性の天使へと変わっていく。

『月よ、傷付きし者を癒せ。』

天井に恍惚に光る月が輝き、光が降り注ぐ。

その光に当たると、フィニの傷がみるみる内に治癒していった。

「どういうことだ……まさか精霊を2つ操るのか!?」

アスタロトのもつ異質な力にワイズは気付いていない。

傷がほとんど塞がったフィニが立ち上がる。

困惑した表情のワイズを見て、フィニはまた不敵に笑い話し始める。

「ふふ。無知なワイズ王。アスタロトの特質は女性天使と男性堕天使の両面性にある。」

驚愕の事実にワイズですら驚きを隠せずにいる。

「……なっ。天使と堕天使の両面性だと!?」

「そう、つまり闇の力と光の力。相反する力をアスタロトは私に与えてくれる。」

フィニから発せられる更に異質な魔力。

ワイズは言い得ぬ危険を感知し身構えた。







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