聖霊の宴

その様子にフィニも気付く。

「……何が可笑しい?」

ワイズはゆっくりとフィニを見据える。

そして、なんとも言い難い複雑な表情で微笑む。

「フィニ、君のギフトは確かに僕のギフトの上を行く様だ。」

「……なんだ?諦めたのか?」

諦めたわけではない。フィニもそれは感じ取っていた。

拭えぬ恐怖にも似た違和感と共に。

「しかし、大陸王を舐めてもらってはこまる。君たちが未だ持たぬ力を我らは持っているのだから。」

ぞくっ。と背筋すら凍る様な恐怖に、フィニは間合いを空ける。

それはフィニの攻撃範囲の先の先。

これから何が目の前で起ころうとも、防御できるであろう。という全ての意識を防御に当てた距離であった。

「さぁ、シルフィード出ておいで。」

洗練された魔力を放ちながらワイズはフルートを奏でる。

その音は光の粒になり、幾多のそれが重なりあって、シルフィードを具象化した。





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