聖霊の宴

シルクがマリアを炎王の城に運んでから1週間が過ぎた。

シルクは鏡のように美しい湖の前で精神を統一していた。

『まずは魔力を練るという感覚を身体に刻み付けることです。』

禅を組みゆっくりと息を吐く。

血が温かく体中を巡るのを感じ、穏やかな呼吸が続く。

『これを意識せずとも出来る様になった時。あなたは強い魔力を得ていることでしょう。』

次第に手足の先々が温かくなり、心の臓にそれを感じた頃。

詮をしていた水が零れるかの様に魔力が湧きだす。

微量なそれが溜まっていく、その感覚に支配された頃。

シルクはゆっくりと目蓋を開けた。

「…………。ふぅ。」

ゆっくりと身体を伸ばし、手をぐっと握る。

『お疲れさまですシルク。少し休みましょう。』

「うん、そうだね。」





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