聖霊の宴
パン。
銃声が辺りに響き渡り、フランジェは笑っていた。
グレイシアの眉間に風穴が空き、ゆっくりと倒れた。
「はぁ、はぁ、はぁ。ははははは。やったぜ、オレ様は魔女を倒した。」
フランジェは歓喜にわいた。
その腕を高々と天に挙げようとした時だった。
「ん?なんだ?何であいつを殺したのに腕が凍ってやがるんだよ。」
パキッ。パキキキッ。
音をたてながら見る見るうちに腕が凍っていった。
「ホント残念なヤツね。」
そして何処からかグレイシアの声が聞こえてきた。
フランジェは背筋が凍り付くのを感じる。
「あんたが殺した私……もう一度よく見てご覧なさい。」
フランジェは手足が凍っていく恐怖の中で、打ち崩れたグレイシアを見た。
「これは……雪象?」
ボロッ。と崩れ落ちたグレイシアが雪に還る。
「じゃあ、おまえは何処に?」
手足から広がっていった氷はもうすでに全身に広がっていた。
首が凍り付き、その口も目も塞ごうとしている。
「私に近づいた者は私の従順な操り人形と化す。これが私のアイスドールの能力よ。」
パキン。
全身が凍り付いたフランジェの手足から伸びる氷の糸。
その先にグレイシアの笑みがあった。
雪原を統べる氷の花。
彼女に挑む来客とはいったい。