聖霊の宴

「かき消せ『聖層の槍』」

左腕から生まれた十数の光の槍。

放たれた光は闇を貫きゲセニアへと向かう。

「ふむ。」

が、ゲセニアの手前で儚く消えた。

ゲセニアはシルクをまじまじと眺める。

焦りはない。不安もない。だが慢心ではなく、ただ平常。

「おもしろい。」

ゲセニアはパチパチとコートのボタンを上から外していく。

そしてコートを脱ぐと放り投げた。

バスッ。と音をたててコートが地面に落ちる。

「おもしろいじゃあないかシルク・スカーレット。もっとだ。もっと私を……」

一瞬にして間合いを詰めたゲセニア。

豪腕を振るい上げ

「楽しませてくれたまえ!!」
――ドッ!!

「……つっ。ただのパンチがなんて威力だ。ミカエル『光波』」

放たれた光がゲセニアを捕えるその瞬間。

闇がゲセニアを覆い、光を飲み込んだ。

「効かぬよそんなものは。我がギフト『ヴァコース・テリトリー=絶対不可侵の檻=』の前にはね。」






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