聖霊の宴
闇がゲセニアの影へと戻っていく。
それは剣を鞘にわざわざ戻すようなことだった。
シルクはその隙を逃さない。
「『聖層の槍』!!」
「甘い『ヴァコース・テリトリー』」
光が届くよりも速く闇がゲセニアを覆う。
光の槍は闇に飲み込んまれ消える。
「絶対防御と言うやつだ。君に破る手立てがあるかな?」
「…………。」
シルクはゆっくりと目を閉じた。
深く息を吐きだし、深呼吸をする。
手足が温かく、血が全身を巡る。
細胞から滲みだした魔力が血に混じり、全身を巡っていく。
「ふむ。なかなかよい魔力ではないかね。」
溢れだした魔力がゲセニアの意識を更に鋭敏にさせる。
「大天使の羽衣――第四の力『白炎』」
シルクがゲセニアの足元を指差す。
「……?なにかね?」
すると――
「――なっ!?」
シルクに指差された部分がまばゆい光を放ったかと思うと、一瞬にして炎が立ち上ぼり燃えだした。
間一髪回避したゲセニアが顔を上げる。
シルクの指先が自らを指していることを認識した瞬間。
ボッ。と左腕に炎が巻き付いた。