聖霊の宴
次第に真っ黒に染め上げられた土埃が晴れていき、そこにはゲセニアの姿があった。
「ぐっ……私としたことが、あんな餓鬼にここまで傷を負わされるとはな。」
爆発の瞬間に闇に包まれたゲセニアだったが、あれほどの大爆発の中では無傷というわけにはいかなかったようだ。
右腕に突き刺さっていた尖った岩を抜き、止血をする。
「さて、あの餓鬼はどうなったものかな?」
ゆっくりと辺りを探るゲセニア。
すると前方に気配を感じ取る。
「生きてはいたか。だが……」
土埃が完全に取り払われ、シルクの姿が確認できた。
その傷は深い。
「ふっ良い様だな。その魔力の名残からして治癒の力を使ったらしいが立てもしないか?」
ゲセニアがシルクを見下ろす。
「はっ、はぁ…はぁ……」
どうにか身体を起こすが最早立ち上がることすら出来ないでいるシルクに、ゲセニアは落胆した顔をした。
「私にオーパーツを使わせたまでは良かったが、やはりただの餓鬼か。なんだその目は?」
消え入る様な瞳。
先ほどまでの輝きはなくなっていた。