聖霊の宴

宙に舞ったシャボン玉の幾つかが割れ、色鮮やかに霧散する。

その一瞬の内にソフィアは倒れていたはずのシルクの姿を見失った。

「さぁ今度こそ相手をしようではないか。」

クラフィティは杖の持ち手をゆっくりとひねる。

すると杖の中から細く長い隠し剣が現れた。

「イラつく爺さんだな。すぐにあの世に送ってやるよ!ルシフェル!」

黒い鎌を構えクラフィティに向かっていくソフィア。

振り下ろされた刃をひらりと躱したクラフィティの下段斬りが迫る。

「――なめんな『暗幕』」

鎌から枝分かれした闇がソフィアの周りに壁を作り出し、クラフィティの剣を受けとめた。

「――突き刺せ。」

クラフィティの剣を受けとめていた闇が、蠢く。

それを感じた時には無数の針がクラフィティへと向かい伸びてきていた。

「むっ……これはまずいな。」

クラフィティの後退よりも速く標的を捕えた針が、無残にもクラフィティの身体中をつらぬいた。

「くくく。大陸王ってのも存外脆いもんだな。ははははは……は?」

ソフィアが高々と笑った時、パン。と音をたててクラフィティの身体が破裂した。

そこには虹色の霧が舞う。

「まさか――!!」

「そう、こっちだ。」

急に背後から現れたクラフィティ。

華麗なる剣技が構えの整っていなかったソフィアを襲うのだった。


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