聖霊の宴

気味の悪いくらいに滑らかな剣に、ソフィアの闇の盾も間に合わない。

「剣技――『月時雨=ツキシグレ=』」

光を反射させた刃が、弧を描きソフィアの左肩を切り裂く。

雨の様に舞う血飛沫にクラフィティの服が染まる。

「ちっ……痛ぇな、この野郎!」

鎌を乱暴に振り回すソフィアだったが、その刃がクラフィティを捕えることはなかった。

身を翻し、皮一枚のところでソフィアの刃を受け流す。

「剣技――『空蝉=ウツセミ=』」

「――なに!?」

ソフィアの目ですら追いきれない超速の斬撃。

クラフィティが杖に剣を収めた瞬間、ソフィアの全身が切り裂かれた。

返り血に染まるクラフィティ。

「……ちっ。"血塗れ伯爵"とはよく言ったもんだな。」

自らの血で真っ赤に染まったクラフィティを見ながら、ソフィアが呟いた。

ふらつく身体を起こしてソフィアは新しくタバコを取出し、火を点けた。





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