聖霊の宴
「……ふぅ。」
ソフィアから吐き出される真っ白な煙。
クラフィティはゆっくりと剣を突き出す。
「手向けの煙に調度良いではないか。幕を閉じようじゃないか。」
突き出していた剣をソフィアに向けたまま引く。
そして、ゆっくりと腰を落とす。
「剣技――『刺突=シトツ=』」
思い切り踏み込まれた地面が爆発したかの様に後方に弾け飛ぶ。
次の瞬間にはクラフィティの剣がソフィアの胸を寸分狂わずに貫いていた。
「……くくくっ。」
ソフィアが笑う。
「何が可笑しい?――はっ、これは!?」
ソフィアを貫いた刃に伝うのが血ではないことに気付いた時、クラフィティの目の前が真っ暗になった。
「ようやく効いてきたらしいな。オレ様の闇は気に入ってもらえそうかい?」
顔の前に近付けた手すら見えない無明の闇。
鼓動すら聞こえない中で、ソフィアの声だけが怪しく響いていた。
「幻術か……」
「同じ幻術使いなら分かるだろう?幻術同士がぶつかれば魔力の高い方が効果を成す。そして幻術は相手を魔力で圧倒できない限り抜け出すことはできない。」