聖霊の宴

「――こっちだ」

フレアの背後へと回り込んだシルク。

千里を飛ぶ力量を、その一蹴に集約する。

「――ちっ、マズったな」

「はぁぁぁあ『天蹴』」

シルクの蹴りがフレアを捕えた瞬間。

フレアの姿が消える。

「なに!?」

『シルク、後ろです!』

消えたはずのフレアがシルクの背後に立ちすくむ。

「戻れ火炎車輪」

「えっ――?」

四方からフレアの手に戻る火炎車輪。

シルクは気付いた。

「そうか火炎車輪の真の能力は――"蜃気楼"を生み出すことだったのか」


シルクの言葉にフレアが笑みをこぼす。

「良いな。なかなかの観察眼だ。その通り、火炎車輪は辺りを熱し光を異常屈折させるヒーターの役割をする」

「僕が攻撃しようとしてもできなかったのは、蜃気楼によってできた虚像に光を放っていたから」

「ご名答。お遊びはここまでにしてイフリートの本当の力を見せてやろう」

蜃気楼が晴れ渡り、フレアが魔力を練る。

放たれる魔力が大気を焦がし、イフリートを召喚する。

「オーパーツ――『プロミネンス=灼熱闘気=』」






< 176 / 406 >

この作品をシェア

pagetop