聖霊の宴
「――こっちだ」
フレアの背後へと回り込んだシルク。
千里を飛ぶ力量を、その一蹴に集約する。
「――ちっ、マズったな」
「はぁぁぁあ『天蹴』」
シルクの蹴りがフレアを捕えた瞬間。
フレアの姿が消える。
「なに!?」
『シルク、後ろです!』
消えたはずのフレアがシルクの背後に立ちすくむ。
「戻れ火炎車輪」
「えっ――?」
四方からフレアの手に戻る火炎車輪。
シルクは気付いた。
「そうか火炎車輪の真の能力は――"蜃気楼"を生み出すことだったのか」
シルクの言葉にフレアが笑みをこぼす。
「良いな。なかなかの観察眼だ。その通り、火炎車輪は辺りを熱し光を異常屈折させるヒーターの役割をする」
「僕が攻撃しようとしてもできなかったのは、蜃気楼によってできた虚像に光を放っていたから」
「ご名答。お遊びはここまでにしてイフリートの本当の力を見せてやろう」
蜃気楼が晴れ渡り、フレアが魔力を練る。
放たれる魔力が大気を焦がし、イフリートを召喚する。
「オーパーツ――『プロミネンス=灼熱闘気=』」