聖霊の宴
溢れだす身を圧迫するほどに強大な魔力。
それは幾重もの戦いを経て洗練されたシルクにすら、危険だと三歩後退させるほどの重圧であった。
「……え?」
シルクはフレアが魔力を解放する瞬間から一瞬たりとも目を離さなかった。
それは想定外の加速した攻撃に備える為であり、気を抜くことは即、死を意味することになるからであった。
「イフリートが消えただけ……また蜃気楼か?」
フレアにより召喚されたイフリートが武器化する為に魔力となり消えた。
しかしフレアは見る限り何も所持してはいない。
何を纏ってもいないのだ。
「シルク。一瞬たりとも気を抜くな。そしてオレの一挙手一投足に神経を磨ぎすませろ」
フレアの言葉にシルクは冷や汗が身体を伝うのを感じた。
それとともに沸き上がるのは恐怖にも似た、背中を駆け抜ける感情であった。