聖霊の宴

シルクは読みおわってからも、手紙から目を離すことができないでいた。

あまりにも現実離れした内容に、思考が止まる。

「……炎王と戦う権利?なんだそれ……聖霊の宴っていったい何なんだ?」




「……シルク。顔色悪いよ、何かあったの?」

「……!!」

いつの間にかリコが背後にいたことに気付かなかった、シルク。

肩をビクッと揺らしながら振り返った。

その様子を見たリコが申し訳なさそうに言う。

「あ、ごめんぬ。驚かせるつもりはなかったんだけど……」

リコの表情にようやく思考が戻るシルク。

「ううん、大丈夫だよ。何か用?」

にこっと笑いかけるシルクに、リコは安心した晴れた表情で言う。

「パパが昨日のお礼をしたいから、今日は朝ご飯を家に食べに来なさい。だって。だからちょっと早いけど、シルクなら起きてると思って呼びに来たの。」

シルクと一緒にご飯を食べられることがよほど嬉しいのだろう、リコは満面の笑顔を見せていた。

「さぁ、行こう?」





< 18 / 406 >

この作品をシェア

pagetop