聖霊の宴
青い炎の斬撃がフレアに向かっていく。
「ちっ――『コロナ』!」
白く淡い輪がフレアの周りに浮かび上がり、それにシルクの炎が触れた瞬間。
シルクの炎が燃え尽くされてしまった。
「なっ――炎を燃やしただと?何なんだあの白い輪は!?」
『ゲァーーーーーーーッ……!!』
「……!くそっ」
再びシルクは瞬速で逃げ回る。
不可視の魔法と触れた物を燃やし尽くす盾をもつフレアに、近づくことさえ叶わないでいた。
しかし、ある疑問が浮かぶ。
戦闘が始まってからフレアは一歩たりとも動いていなかったのだ。
勿論、今はシルクが攻めあぐね、フレアは余裕からそうしているということも十二分にありえる。
だがしかしシルクは自分が感じている違和感を拭えずにいた。
「――『光撃』!」
放たれる光がフレアの頭上の天井を打ち抜く。
「……まさか」
天井は砕け、巨大な塊がフレアに向かって落ちていく。
「――『タラリア』」
「――『コロナ』」
同時に発動する力。
淡い白い輪がフレアを囲うより早く、シルクはフレアの背後へと潜り込んだ。