聖霊の宴

終演の月


大天使の羽衣でフレアを捕縛したシルク。

フレアからは全く抵抗の意志が感じられない。

「……どうしたんですか?あなたほどの使い手なら抜け出すことなど難しくはないでしょう?」

フレアは振り返りシルクの目を見る。

「……くかか。まぁ良いじゃねぇか。オレ様はもう十分楽しめた」

にっと笑うフレア。

そこにはもう戦意など宿ってはいなかった。

「大したもんだ今の時点ではオレ様が僅かに勝るが、この戦いの中で同等……いや僅かだがシルクが勝るだろう。

これ以上の戦いに意味はない。それにオレ様はお前の方が大陸王に適していると判断する」

シルクは呆気にとられていた。

フレアは好戦的で気性の荒い人物だと思っていたのに、この潔さは何だろうか。

「えっと……つまり?」

「この布を解いてもらわなければ『立夏の腕輪』が渡せない。ということだ」


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