聖霊の宴
ブレイズ家の朝食は豪華だ。
とは言ってもこの村落の中では。という話であるが。
「昨日の猪牛焼きの残りを甘辛く煮込んでみたの。どうかしら?」
村で作った醤油と、ほんの僅かばかり与えられた砂糖を使った煮込み。
「凄く美味しいです奥様。村の皆にも是非味わってもらいたいくらいです。」
「ほんと。もう少し豊かな村になってくれたら良いのにねぇ。」
リコの母、リンドは悲しげに笑いそう言った。
「そうだサモンさん。実はフレア王から手紙を頂いたのですが……」
「――!!」
シルクの言葉にサモンの表情が変わった。
張り詰めた空気をそこにいた誰もが感じるほどに。
「リンド、リコ。席を外しなさい。」
「ええ……あなた。」
「はい、パパ。」
リンドとリコが席を外し、サモンはじっとシルクを見つめた。
「今の言葉、真実なのだな?」
射ぬくような眼光に、シルクは生唾を飲み込む。
そして、ゆっくりと炎王からの手紙を机に置く。
「聖霊の宴とはいったいなんなのですか?」