聖霊の宴
シルクはその腕輪を受け取れずにいた。
フレアが一歩前におどりでる。
「何だその顔は?そんな顔で民の前に出るつもりなのか?」
フレアはシルクの胸に腕輪を突き付ける。
「持ってみろ……
良いから、持ってみろ」
「…………はい」
黄昏色に輝くそれをシルクは両手で受け取る。
「――――重い」
ずっしりと重い腕輪。
「重いだろう。これにはこのサマー・グラウンドにいる民全ての想いが乗っている、重くないわけがない。
お前はこれからその重みを抱えながら王として歩まなければならない」
威厳あるフレアの言葉にシルクはしっかりと頷いた。
それを見たフレアが「くかか」と笑った。
「考え頭を抱えよ、されど決して俯くな。民を守る為の盾となれ、されど決して折れてはならぬ。
民の安寧を全てとし、されど決して自らを犠牲にするな。
王とは民の為にある。しかし王も民の1人だということは決して忘れるな」
夕陽が二人を照らした。
輝く腕輪はフレアからシルクの元へと移り、まるで王となったシルクを祝福するかの様な光は、普段より少しだけ長く大陸を照らしていた。