聖霊の宴
「そうか……宴の来客となったのか。」
サモンは厳しかった表情から一転、とても切ない顔をするのだった。
「聖霊の宴について知っていらっしゃるのですね?」
サモンはゆっくりと首を縦にふる。
「月は本来、その輝きを放つことで、大地に溢れる魔力を抑えこんでいる。」
サモンは静かに静かに話し始める。
「昨晩の陰月。月の光は遮られ、ある物の封印が解けた。」
「ある物……?」
サモンは頷き言う。
「聖剣……『アバンカールト』。強大な魔力を持つその剣は、他の万象に様々な影響を与える。それを手にすれば世界を治めるに等しい代物だ。」
あまりにも唐突な話にシルクは困惑していた。
それを知ってか知らずか、サモンは続ける。
「強大すぎる魔力は生物を凶暴化させる作用もあり、きたる新月の日に各大陸の王たる者が封印することを決めたのだ。」
「じゃあ聖霊の宴とはアバンカールトを封印するにたり得る力を持つ者を選抜する為の戦いであると?」
「左様。しかし人の力など微々たる者に過ぎない。そこで選ばれた者達には、協力者が現れる。」