聖霊の宴
下・聖剣の大陸
帰郷
4の大陸王が選出され、終演の満月が大陸に浮かんだ日から7日。
『……やっぱ様子がおかしいぜ?』
とある山脈の坑道でフレアは身を潜めていた。
イフリートの言葉にフレアが小さく頷く。
「大陸王は決し、アバンカールドはその姿を見せた……だが、イフリートは消えていない」
『ああ、しかもどうやらオレだけではないらしい』
「……他の精霊もまだこの世界に留まり続けているというわけか」
パキッと炎の中で薪が割れる。
宙に舞った炭がフレアの魔力で粉々に砕け散る。
「ふむ……アバンカールドはまだオレ達、宴の参加者に何かをさせるつもりなのかもしらんな」
真っ暗な闇に浮かぶ三日月を見つめるフレア。
『よぅ、気付いているかフレア?
終演の満月が出た時から、おぞましい魔力が大陸に溢れてきている』
「ああ、今までで最悪に邪悪な魔力だ。これは"普通"じゃない」