聖霊の宴


「遥か太古の時代、大陸がまだ一繋ぎであった頃。当然だが大陸王は1人であった。

神が授けた名も無き王剣はただの称号に過ぎず、王は自らの子にその剣を託すことで王位を継承していたのだ」

「しかし如何に王家の血を引いていようと、魔力は引き継がれるものではなかった。

魔力によって民を統治していた王家、しかし王が死ねば子には魔力が無く、自ずと王家の力は弱まる。

その度に幾度も内乱や国家転覆が起こったのだ」

陽が沈み、フレアは魔力で蝋燭に火を灯した。

「そこで王は名も無き王剣に魔力を宿すことにしたのだ」

「名も無き王剣に魔力を宿す?」

サモンは眉をひそめて言う。

「王以外で魔力を持つ者を生け贄に剣に魔力を宿したのだ」

「王以外で魔力を……そうか」

シルクは机を叩く。

響き渡る音が静まると、無性に遣る瀬なさが溢れた。

「ポリア族は精霊と人間とを繋ぐもの、居なくなれば王も魔力を失う。

だが、そこから枝分かれし反逆を繰り返したソフィア族なら……」

「王はソフィア族を名も無き王剣で斬殺し、その血に宿る魔力で王剣に力を宿した。

故に今では王剣は『アバンカールド=生命を食らう剣=』と呼ばれるようになったのだ」





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